宮崎コテージゆすの木(“涙が止まらなかった” 被災の15歳少年の答辞「天を恨まず」)

梶原裕太さんの答辞 
本日は 未曾有の大震災の傷も癒えないさなか 私たちのために卒業式を挙行していただきありがとうございます。ちょうど 十日前の三月十二日。春を思わせる暖かな日でした。私たちは そのキラキラ光る日差しの中を希望に胸を膨らませ、通いなれたこの学舎を五十七名
揃って 巣立つはずでした。前日の十一日。一足早く渡された、思い出のたくさん詰まったアルバムを開き、十数時間後の卒業式に思いを馳せた友もいたことでしょう。「東日本大震災」と名づけられる天変地異が起こるとも知らずに・・・。階上中学校といえば「防災教育」といわれ、内外から高く評価され、十分な訓練もしていた私たちでした。しかし、自然の猛威の前には、人間の力は あまりにも無力で、私たちから大切なものを容赦なく奪っていきました。天が与えた試練というには、むごすぎるものでした。つらくて、悔しくてたまりません。時計の針は 十四時四十六分を指したままです。でも、時は確実に流れています。生かされた者として 顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、
正しく、たくましく生きていかなければなりません。命の重さを知るには、大きすぎる代償でした。しかし、苦境にあっても、天を恨まず、
運命に耐え、助け合って生きていくことが、これからの 私たちの使命です。私たちは今、それぞれの新しい人生の一歩を踏み出します。
どこにいても、何をしていようとも、この地で、仲間と共有した時を忘れず、宝物として生きていきます。後輩の皆さん、階上中学校で過ごす
「あたりまえ」に思える日々や友達が、いかに貴重なものかを考え、いとおしんで過ごしてください。先生方、親身のご指導、ありがとうございました。先生方が、いかに私たちを思ってくださっていたか、今になってよく分かります。地域の皆さん、これまで様々なご支援をいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。お父さん、お母さん、家族の皆さん、これから私たちが歩んでいく姿を
見守っていてください。必ず、よき社会人になります。私は、この階上中学校の生徒でいられたことを誇りに思います。最後に、本当に、本当に、ありがとうございました。平成二十三年三月二十二日第六十四回卒業生代表  梶原 裕太『 天を恨まず 』15歳の言葉です。
私が特に感動したのは、思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましくの4つのキーワードこそ、世界を変える日本人の心なのです。
そして、綾針葉樹マラソンに参加の皆様も復興を祈願して走るのです。